「僕は人を信じている。」
15才で「人を幸せにするものをつくりたい」、という志を持ち、やがて当時かなりの狭き門だったクラボウに入社。
その後、世界198カ国をまわって、現地の繊維産業を盛り立ててきた近藤健一さんは、「糸の魔術師」という異名を持ち、またエシカル・ファッションをいち早く提唱した、繊維業界では知らない人のいない技術者。 20数年前に、クラボウから子会社の大正紡績株式会社に数ヶ月の予定で出向したとき、その傾きかけた様子を知って愕然となる。
世界で現地の人々の仕事をつくり、繊維産業をサポートしてきた自分は、足下の子会社に対して何もしてこなかったのではないかと。
そしてそのまま、本社に戻るようにという異動命令を聞かず、クビになってもいい、と大正紡績に残ったという。
そして現在、御年75才にしてバリバリの現役。 人を思い、自分の信念を貫く方だからこそのエシカル・ファッションなのだと、今回、近藤さんのお話を聴いて、胸が熱くなりました。 8月24日に、近藤さんのいる大正紡績株式会社さんにお邪魔してきました。 大正紡績さんは、日本で最初にオーガニックコットンを扱ったという繊維会社。 数年前に近藤さんのお話を聞いて感動して、ご協力をお願いしたところ快諾していただき、その後、綿をテーマにした企画展で、べんがら染めのワークショップや、世界の様々な綿、オーガニックコットンのベビー服(めっちゃかわいい)、紡績過程のパネル展示などでご協力していただいています。 今回の訪問は、同じく綿の企画展で連携している奈良県立五條高校の先生と生徒さんたちからの熱いラブコールで実現したのでした。 彼らは、去年から学校で綿を育て、糸紡ぎまでの実践をしたり、五條市の助成金を得て小学生への指導も行った子たち。初めはわたしが指導して、キッズプラザでも子ども対象のワークショップのサポートをしてくれた。 近藤さんは、世界でもひっぱりだこのものすごい方なのに、ちっともえらそうではなく、孫のような年の高校生たちに、とてもあたたかく親しみを込めて接してくださって、オーガニックコットンのこと、というよりも、それ以上に人生のお話をしてくださったのでした。 「人を幸せにするものをつくりたい。それは15才のときからずっと変わらない。」
「弱い人間がいたら引っ張り上げる。」
「タイのシルクや、フランス、ベルギーのリネンを、オーガニックにするために現地に5年通った。あきらめない。」
「オーガニックで世界を平和にするのが、ぼくのライフワーク。」
普通の視察なら、オーガニックコットンとは、世界のシェアは、なんていうお話をしてくれるはずなんだけど(そして用意してくださっていたようなのだけど)、人間、近藤健一さんのお話をじっくり聴けた、なによりの時間になりました。
お話だけでなく、たくさんの種類の綿や製品を触らせてくれた。フランスの高級ブランドのストールは、最高級の海島綿を、120番手の極細糸にして、それを織ったもの。
まとわせてもらうと、とてもとても軽く、やわらかく、ふわりとあたたかい。
「俺、首に巻くのきらいだけど、これはいい。」と言っている子もいた。 工場見学でもみんな大興奮! 工場を案内してくださった方も、とても丁寧であたたかく、いろんな質問に答えてくださった。 一万五千錘の紡績工場は小規模で、多品種小ロット。 大量生産、大量廃棄ではないものづくりをしている。 秋に、加古川で開かれる全国コットンサミットに出展したらいいよ、なんてお誘いもしてくださった。したい、したい。 綿部の生徒さんたちは、笑いが大好きで、仲間を大切にしていて、綿栽培や糸紡ぎなんてことをやってる自分たちをおもしろがってる楽しい子たち(半分以上男子)。 一生懸命で純朴な子たちだなあ、といつも思う。 若いときに、こんな素敵な大人の人に会えて、この子たちほんとによかったな〜、と思う。 近藤さんのお話を聞いて、「ここで働きたい!」と言っていた子もいたなあ。 そして、誰よりも興奮して喜んでいたのは、実は先生とわたし、あはは。 七十二候によると、8月23日〜27日頃は『綿柎開(わたのはなしべひらく)』だった。 綿の実がはじけて、綿花がのぞく季節。いい時に行けたなあ。 秋には、また綿の企画展やります。めっちゃやる気になった。 今治タオルを復活させ、3.11後にコットンで東北復興を支援する東北コットンプロジェクトを起した近藤さん。ほぼ日のインタビューがとても素敵なので、ぜひご一読を。 「糸の魔術師、近藤健一さんのこと」ほぼ日。http://www.1101.com/kondo_kenichi/2015-06-01.html 大正紡績株式会社 websitehttp://www.taishoboseki.co.jp/main-05-a.html #大正紡績株式会社 #全国コットンサミット
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